Mar 10, 2009

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 東京電力福島第1原子力発電所の放射能漏れ事故は東京電力管内に限らず、全国の原発立地地域でも原発の安全性に対する信頼を揺るがした。定期検査で停止中のものや、8月以降相次いで定期検査に入る原発の再開が危ぶまれ、再開できないと、東日本ではほとんどの原発が稼働しない状況に陥る。電力の供給量不足に加え、原発の運営の継続性が困難になる可能性がある。

 「とにかく電源をかき集める」。東電の藤本孝副社長は震災以降、こう繰り返してきた。東電の供給力は現在、約4000万キロワット。震災前の6割だ。火力発電所の復旧と増強などで、夏までに最大5000万キロワットに引き上げる計画だが、夏のピーク需要5500万キロワットはまかなえない。こうした中で、供給力回復の生命線ともいえる柏崎刈羽原発(新潟県)に対する逆風が強まっている。

 同原発は、平成19年の新潟県中越沖地震で7基すべてが停止した。4基が地元の了解を得て再起動し、残る3基(出力計330万キロワット)の復旧を急いでいるが、柏崎市の会田洋市長は福島第1原発の事故を受け、「これまで通りには手続きに入れないだろう」とし、3基の早期再開に否定的な見方を示した。

 さらに、柏崎刈羽原発では運転中の2基が8月から順次、定期検査のために停止し、東電の供給力は190万キロワット分低下する。

 定期検査は国のチェックを受けて通常2〜3カ月で終わり、再起動に際して地元の了解は手続き上、特に必要とされていない。だが、福島第1原発の事故処理も終わっておらず、周辺住民が避難を余儀なくされている状況からは、検査後の再開も流動的だ。

 九州電力の玄海原発(佐賀県)2、3号機はそれぞれ、3月下旬と4月上旬に定期検査を終える予定だったが、「再起動のめどは立っていない」(同社)。

 各社は夏場を避けるように定期検査を調整してきたが、関西電力は4月上旬に検査を終えるはずだった美浜原発1号機(福井県)の「再起動がずれ込む」とした。4月末から伊方原発3号機(愛媛県)の定期検査を予定する四国電力も、「停止期間が長くなる可能性がある」という。

 北陸電力の松岡幸雄副社長は7日、「各社とも発電電力量の3分の1は原子力。計画停電の必要性も見極めなければいけない」ことを明らかにした。電力各社は、原発を柱にした供給計画の変更が避けられない状況だ。

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 政府は7日、福島第1原発事故で避難指示を出している半径20キロ圏内の住民の一時帰宅について少人数ごとに段階的に実施する方針を固めた。実施にあたっては同地域を「警戒区域」とし、帰宅後は全員退去させるよう検討する。東日本大震災から1カ月の11日にも基本方針を示す。また、20〜30キロ圏内への屋内退避指示を避難指示に切り替える準備を進めており、各地での放射線量の測定値に基づき最終判断する方針だ。

【福島第1原発】住民「戻れるものなら」 一時帰宅容認へ

 避難住民は貴重品などを持ち帰るための一時帰宅を求めている。枝野幸男官房長官は7日の記者会見で「実現できないか検討を進めている」とする一方、時期は「そんなに早いとは想定できない」と述べるにとどめた。

 20キロ圏内では自衛官や警察官が防護服を着用し、放射線量の測定機器を付けて作業。枝野氏は「住民の皆さんも同様か、それに準ずる対応が必要だ」と指摘。「順番に段階的に少人数で、という形で始めたい」と語り、地域を区切るなどして実施する考えを示した。

 ◇「準備に1カ月単位」

 国の原子力災害現地対策本部によると、20キロ圏内には2市6町2村の約8万人が居住。実施には希望者への周知・募集や、移動手段を持たない住民への車の手配、警察官・自治体職員の配置などが必要で、「準備に1カ月単位の時間がかかる」(福島県南相馬市の担当者)との見方もある。実施にあたっては、災害対策基本法に基づき立ち入り禁止や退去を命じることができる「警戒区域」を設定することも検討している。

 また、枝野氏は会見で屋内退避の避難指示への切り替えにあたり、「累積での放射線量について、どういう基準で避難したらいいか(専門家に)検討してもらっている」と述べた。新たな避難指示は、実際に高い放射線量が測定された地域に限定する可能性を示唆した。内閣府原子力安全委員会は、累積被ばく放射線量50ミリシーベルト以上という現行基準に関し、20ミリシーベルト超に下げるよう6日に政府に伝えている。【影山哲也】


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